「森の賢者」、「森の知恵者」などと称されるフクロウ。

某メガネ屋さんでも「眼鏡をかけてるお利口さん」的な公認キャラクターとしての役割を果たしています。

一般的に「知能が高く賢い鳥」として認識されているフクロウは、ギリシャ神話の世界においても、女神アテナの従者としての役割を存分にこなしていたのです。

女神アテナは、その場にいながらにしてその日に起きた出来事を知ることができました。

なぜなら、夕方になると町にフクロウを放ち、人々からの情報を集めさせていたのです。

人々は日中に犯した過ちや失敗を踏まえているので、夕方には少し賢くなっています。

女神アテナは、放ったフクロウにそれらの「知識」も集めさせたといわれています。

神話に出てくる通り、はたして本当にフクロウの知能は高いのでしょうか?

フクロウ 知能 高い

フクロウの記憶能力について。「知能の高い、低い」は人間の勝手な言い分?

フクロウは記憶能力が優れているといわれています。

鶴の恩返しではないですが、「フクロウの恩返し」らしきエピソードは実際に存在します。

助けてくれた家族に、毎日欠かさず、狩りで得た獲物を持ってくるというのです。

更には、その家に飼われている猫にまで獲物のお裾分けをしようとするとか。

人間に助けてもらったことを覚えているから、そうした行動に出るのでしょうか?

フクロウは、個々人の顔を見分けたり、人間の性別や、自分とその人との相性を容易に図れると言われています。

フクロウの記憶能力

エピソード①

イギリスでは、ある男性が怪我をしていたモリフクロウのヒナを保護するために連れ帰ったところ、その男性の家がフクロウのテリトリーとして認識され、以降は外に出たがらずに彼の傍を離れることなく仲良く暮らしています。

エピソード②

東シベリアのトラック運転手のゾロツーキン氏が怪我をしていたフクロウを保護しましたが、配送という仕事の都合上、すぐには保護センターに連れて行けませんでした。

車に乗せたまま、しばらく面倒を見た後、ようやく自宅にたどり着きました。

その後、近くの動物園に預けましたが、一週間後、預けたフクロウが全く餌を食べないで飼育員を困らせていると告げられました。

このままでは衰弱し亡くなってしまう恐れもあるため、ゾロツーキン氏に「引き取って欲しい」というのです。

ゾロツーキン氏が駆けつけると、フクロウは彼の顔を見るなり嬉しそうな態度を見せました。

食欲を取り戻し、彼の手ずから餌をガツガツと食べたのです。

以降、フクロウが彼の傍を離れたことはありません。

エピソード③

その名を呼べば、「クォー!」と鳴きながら走り寄ってくるアナホリフクロウ。

エピソード④

南アフリカのある家族が、怪我をして飛べなくなったワシミミズクを保護しました。

2ヶ月間に及ぶ怪我の治療の甲斐もあり、ミミズクは元気になって飛べるようになりました。

「良かった良かった」と喜ぶ間もなく、それから毎日、ミミズクが獲物のプレゼントを持って来訪するようになったのです。

プレゼントは、主にネズミやヘビ。

ヘビは一匹のまま、だらりーん、とした状態で咥えてきます。

「獲ったどー!」ではないですが、そんなドヤ顔して持ってこられても……。

まだベッドで寝ている家族の鼻先に、毎朝、獲りたてのネズミが運ばれてきます。

「活きのいいうちに、早く食え!」とでもいうのでしょうか。

人間のみならず、その家の飼いネコにまで獲物のネズミを振る舞おうとしてくれます。

その心意気は嬉しいのですが……。

 

こういったエピソードを知ると、フクロウは記憶能力が非常に優れており、更には人の心の機微までもわかる鳥なのだ、と思えませんか?

ここまで懐かれれば、さぞかし可愛いことでしょう。

フクロウの記憶力が悪い方面で活かされた事例もあります。

エピソード⑤

ヒナの頃に嫌がることをされた人間を覚えており、成鳥になったあかつきには仕返しとばかりにその人の後頭部を蹴りつけるのだそうです。

音も気配もなく飛んできては、その人の後頭部を執拗に蹴り飛ばすのだそうです。

その人の一日の行動パターンを記憶しているかのように、朝は部屋の前で待ち伏せ、夕方になると帰ってくる頃を見計らって待ち伏せし、後頭部を蹴るチャンスを狙っているそうです。

……怖いですね。

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人の言うことをきかないから、知能が低いわけではない

ヨウムは頭が良いと言われます。

人の言語を理解できる鳥だとか。

また、カラスは独自の遊びを見出したり、道具を使ってクルミを割るなど、大変に知能が高いことがわかっています。

一方、フクロウは基本的に人間の言うことをききません。

一度、強く叱責してしまえば、それ以降、飼い主のことを「外敵」と見なし、敵意剥き出しにされる可能性もあります。

ヒナの頃から大切に優しく世話をしてやることで、飼い主を親鳥またはパートナーとしてインプリンティング(すり込み)させ、懐かせることができるのです。

言葉がわからないから、しつけができないから、言うことをきかないから、糞をする場所を覚えないから、人間の思い通りにならないから……という理由だけでは、フクロウの知能が高い低いは、一概には決めつけられません。

前述のエピソードのように、フクロウが思わぬ恩返しをしてくれることも多々あるのですから。

まとめ

フクロウは、時系列によって人や物事を覚えているようですね。

ヒナの時に接し方に失敗すると、以降は「外敵」と見なされるそうです。

日本では「知識の象徴」と見なすのが、もはや当然なフクロウですが、他の国では「妖術師の鳥」、「魔女の仲間」、「新生児を食べる鳥」、「フクロウは元は人間」とされているなど、その捉え方は様々です。

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