フクロウの目、大きいですよね。

生肉をバリバリ噛み千切って食べる猛禽類にも関わらず、あの大きくてつぶらな瞳を見れば、なぜか心が癒やされます。

でも、フクロウの目って一体どういう構造になっているのでしょう。

フクロウの触れ合い体験に行き、フクロウと目線を合わせようと覗き込んだことがありますか?

フクロウは首を回し、すーっ、と顔を背けたことと思います。

不躾に覗き込んだ人間を嫌がり、目線を逸らすことは理解できますが、なぜ首を回して顔ごと視線を避けるのでしょうか?

フクロウ 目 構造 見え方

眼窩に固定されたフクロウの目は、夜目遠目に最適な構造。でも、見え方はモノクロ?

「視線を逸らすこと」は、人間の眼球が球体構造だからできることなのです。

眼球が動かせるので、顔を動かすことなく嫌な物からさりげなく視線を外したり、周囲の人に気づかれずに、お目当ての人に熱い視線を送ったりもできるのです。

フクロウは、人間とは違う目の構造をしています。

フクロウの目は球体構造ではなく円筒状の構造。

眼球は眼窩に固定されており、動かすことができません。

その代わり、270度という驚異的な融通性で首を回すことができます。

見たくないモノや、脅威を感じるモノから視線を外したいときに、首ごと(顔ごと)回すのにはそういったワケがあったからなんですね。

フクロウの目は瞳孔がかなり大きく、夜目が良く効きます。

微細な光を取りこむことができる構造なので、夜目は良くても昼間の光は眩しすぎるようで、瞳孔を小さくしたり、目を細めている個体が多いのです。

フクロウの目の構造

フクロウの眼球は球状ではなく、円筒状になっています。

フクロウなどの夜行性の鳥類は、取りこむ光量を多くするため、大きな眼と大きな瞳孔が必要となりますが、大きな眼球であればあるほど、それを収めておく眼窩も大きくならざるを得ません。

眼球が球状であれば、不必要に頭部が大きくなってしまいます。

それを防ぐため、頭部前面についている両目の眼球は眼窩に固定された管状タイプの構造となっています。

眼球が眼窩に固定されているため、動かすことはできません。

視野を広くするためには首を大きく回す必要がありますが、フクロウは頚骨を270度という融通性で大きく回すことが可能です。

頭だけでクルリと振り返ったり、上下に反転させたりするなどの自在性を持って、視野の狭さをカバーしています。

フクロウの目には、「瞬膜(しゅんまく)」と呼ばれる膜があります。

上下に開閉するまぶたとは違って瞬膜は水平方向に開閉し、眼球を保護する役割を果たします。

第三眼瞼とも呼ばれており、フクロウに限らず、爬虫類なども瞬膜を持っています。

「瞬膜」と呼ばれる理由は、まばたきのとき、目の内側から瞬間的に出てくるからです。

鳥類は自由自在に瞬膜を動かすことができます。

というのも、瞬膜は非常に重要な役割を果たしており、猛禽類はヒナに給餌する際、瞬膜を使って目を保護し、目を突つかれないようにしています。

また、ハヤブサは獲物を捕らえるために上空から凄まじいスピードで急降下する際に瞬膜を使い、眼球が浮遊物や塵などで傷けられるのを防ぎます。

多くの生き物には、網膜の後ろに光を反射するタペタム(またはタペータム)と呼ばれる組織があり、これが夜間の視力を強化する役割を担っています。

フクロウの目にもタペタムがあり、網膜を通過した光が眼底にあるタペタムで反射し、再び網膜を通るため、周囲が暗くても良く見えるのです。

また、人間の目の構造とは違い、フクロウは網膜に櫛膜(しつまく)という櫛様状の、規則正しい隙間模様があります。

櫛膜越しに見ると、獲物の動きや形状が良くわかるという利点があります。

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フクロウの目の見え方

視細胞には、錐体(すいたい)細胞と桿体(かんたい)細胞という2種類の細胞があります。

錐体細胞は、明るい場所で色を認識しますが、暗闇ではその機能が低下します。

桿体細胞は、色は識別できませんが、微かな光を感知します。

暗闇で機能が活かされます。

フクロウの視細胞は、桿体細胞が大半を占めています。

そのため、暗闇でも良く見えるのです。

色は識別できませんので、見え方は、「色彩のないモノクロの世界」です。

他の鳥とは異なり、両目とも正面についているため、立体視が可能と言われています。

まとめ

フクロウの目の構造は筒状になっており、眼窩に固定されています。

驚愕の事実としては、フクロウの耳の中から眼球の裏側を見ることができます。

フクロウの目の見え方は、色彩のないモノクロの世界だそうです。

イギリスで制作された「In the Eyes of the Animal(動物の目線から)」と名づけられたヴァーチャル・リアリティ映像によって、フクロウ(を含む他の生き物)が見ている世界を疑似体験することができるそうです。

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